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【コスト編】食品工場向けフードプリンターを知る

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価格相場の考え方(クラス別の目安)

卓上〜小型(試作・多品種少量)

目安:数十万〜160万円前後(代表例:店舗・小規模工場向け機)。
導入しやすく多品種対応に強いが、量産・連続稼働の設計は機種選定が要。

中型(主力クラス)

目安:100万〜数百万円。高速印刷・色再現・保守体制のバランスが良く、主力運用の起点。ボトル式インクやプロファイル最適化で1点あたりコストを下げやすいのが特徴です。

ライン組込み(量産・自動化前提)

目安:数百万円〜1,000万円台(本体+コンベア・位置決め・カメラ検査・盤工事・ソフト連携含む)。
検査・排出・トレーサビリティ等の自動化範囲で大きく変動します。

総コストの内訳(初期+運用)

初期(イニシャル)

・本体/ヘッド仕様・dpi・色数・印刷有効範囲・材厚対応
・ライン組込み:コンベア、昇降・位置決め、パスライン高さ合わせ、センサー/カメラ、ガード、防塵、制御盤、既存PLC/上位システム連携
・設置・調整・教育:HACCP文書化支援、SOP整備、予備部品、延長保守

運用(ランニング)

可食インク(合成/天然)、洗浄液・クリーニング、消耗部品(フィルタ・ノズル)、定期点検、電力、ソフト/連携保守が主要項目。 被覆率・色数・解像度・食品表面状態でコストが変動します。

工場用の場合は本体以外の設備も重要

工場ライン組込みの価格は「本体」よりも「周辺設備・制御連携・検査」の入れ方で大きく変わります。 卓上〜中型は公開価格が多い一方、ライン統合は要件次第で数百万円〜1,000万円台の幅。意思決定は「1点あたり実コスト」「タクト」「歩留り」で行いましょう。

初期見積り時は“被覆率・色数・スループット・清掃段取り”を実食品で検証し、ランニングの振れ幅を早期に確定させるのが近道です。

ライン組込みで価格が跳ねる要因

1. 位置決め・検査

画像処理(カメラ)で食品位置・角度を補正、NG排出まで含めると費用は増すが歩留り安定。量産での“印字ズレ起因の再加工・廃棄”削減は投資回収に直結します。

2. パスライン高さ・省スペース化

既存ラインの高さ(例:800mm±)に合わせる機械設計、カバー・防塵、衛生区分の仕切り等。

3. ソフト連携・トレーサビリティ

MES/生産管理・ラベル照合・レシピ切替の自動化は費用増だが、段取り短縮と誤出荷防止に寄与。

インク選定:画質・コスト・衛生性のバランス

合成色素インク

鮮やかで保存性も安定。写真再現や微細表現に向く。単価は相対的に抑えやすい。

天然色素インク

自然な発色だが色数・保存性に制約、単価は高め。 ブランド方針や表示・衛生の観点で選択。

安全性・法規と衛生運用

食品衛生法と添加物

可食インクは食品衛生法の枠組みに適合した食品添加物のみを使用することが前提。 添加物リスト・運用要領を確認し、原材料・ロット管理を徹底。

HACCP/清掃・消毒

日常清掃(毎稼働後)/定期清掃(週1〜月1)/徹底清掃(月1)を目安に、ノズル・供給系・搬送部の洗浄を標準化。清掃を怠ると印字不良・歩留り悪化・衛生リスクが増大します。

費用対効果(ROI)を最大化する打ち手

基本式

月間粗利増分=(付加価値単価−1点コスト)×月間点数−月保守

回収月数=初期費用総額÷月間粗利増分

改善レバー

①被覆率最適化/色数最適化 ②段取り・清掃短縮(自動クリーニング) ③検査自動化で再加工・廃棄減 ④多品種展開で稼働率向上 ⑤販路×デザインで単価アップ

導入ステップ(価格交渉を含む)

1. 要件定義(必須)

対象食品・形状/月間点数・ピーク能力/画質(dpi・写真/ロゴ)/最大印字範囲・材厚/インク方針(合成/天然)/自動化範囲(供給〜検査〜排出)/清掃頻度・段取り時間/保守SLA・拠点距離

2. デモ・実証

実食品でテスト印字→被覆率・1点コスト・タクト・歩留りを数値化。 NG品の再加工フローも確認。

3. 相見積と価格条件

本体・組込み・教育・予備部品・保守延長・納期。増設オプションや将来拡張の単価条件も取り決め。

4. 稼働後の最適化

プロファイル調整、清掃SOP運用、検査しきい値最適化、被覆率改善の継続。

見積依頼テンプレ(そのまま使えます)

・対象食品/形状/寸法/個体差(油分・水分・凹凸)
・必要画質(写真/ロゴ/焼印風)・色数・最大印字範囲・被覆率(%)
・月間点数・ピーク能力(枚/分)・連続運転時間
・前後工程(供給/焼成/冷却/包装)・既存ライン高さ(mm)・スペース
・自動化範囲(位置決め・検査・NG排出・トレース)
・インク方針(合成/天然)・表示/アレルゲン要件・HACCP区分
・清掃頻度・段取り目標・保守SLA(応答/代替機)・拠点

よくある失敗と回避策

1. “本体だけ”で比較してしまう

ライン費・検査・清掃段取りを含めた総コスト/タクトで比較する。

2. 被覆率未確定のまま契約

実食品のデザインで被覆率を確定し、1点コストの上下限レンジを見積に入れる。

3. 清掃・衛生の運用負荷を見誤る

自動クリーニングや分解洗浄の作業標準を事前に確認。停止→再立上げ時間も計上。

よくある質問

天然色素は高い?画質は落ちる?

単価は高めで色数・鮮やかさは制約がある一方、ブランド方針との親和性が高い。保存性も加味して設計。

1点あたり何円になる?

被覆率・dpi・色数次第で1円未満〜数円台。テスト印字で設計値→±レンジを提示してもらうのが確実。

補助金は使える?

対象要件が年次で変わるため最新の公募要領を確認。事業計画と整合させて申請を。

新規導入に伴う初期費用の目安を知りたい

食品工場向けフードプリンターの新規導入にかかる初期費用は、単体で数十万円台の機種もありますが、工場ラインへ組み込む場合はトータルで数百万円〜1,000万円程度の費用が必要となることが一般的です。この初期費用は、主にフードプリンター本体価格と工場ラインへの組み込みに必要な周辺設備費・工事費で構成されます。

初期費用の主な内訳

  • フードプリンター本体の価格
    大量生産ライン向けなどの高性能機種では数百万〜1,000万円ほどかかります。価格は印刷精度(dpi)、印刷スピード、対応できる食品素材の種類、カラー印刷対応の有無、システム連携やカスタマイズ性など、機能によって大きく変動します。
  • 工場ラインに組み込む際に必要な費用
    設置工事費: プリンターをラインに設置する際の配線・電源工事、ライン改修、防塵・防水対策などの設備工事費用です。
    ベルトコンベアの導入・調整: 食品を自動で搬送し、プリンターと連携させるためのベルトコンベア(またはその他の搬送システム)の購入や調整費用が発生します。
  • オプション設備
    判別機(カメラ・センサー): 印刷前に食品の位置・サイズを判別して印字ズレを防いだり、印刷後の不良品を自動で確認・排除したりするために導入します(AIによる判別機能を持つ製品もあります)。
    自動クリーニングシステム: インク詰まりなどを検知・クリーニングするシステムで、多くの機種に搭載されていますが、その性能によって費用が変動します。
    生産管理システムとの連携: 既存の工場管理システムと連携させるためのソフトウェア導入・カスタマイズ費用です。

初期費用を抑える方法

リース契約の活用や、外部業者への印刷委託(一時的な場合)、そして補助金(ものづくり補助金など)の活用といった方法で、初期の費用負担を軽減できる可能性があります。

消耗品の費用やランニングコストは?

食品工場向けフードプリンターの運用には、主に可食インク代、消耗部品代、メンテナンス費用、電力料金などのランニングコストが発生します。これらのコストは、機種選定や運用方法によって変動するため、導入前に全体像を把握しておくことが重要です。

ランニングコストの主な構成要素

  • 可食インク代(最も大きな割合を占める)
    インクの種類(合成・天然)、色数、印刷量、デザインのインク消費量によって価格が異なります。 (例:合成可食性インク(200ml・4色)で15,120円(税込)、天然可食性インク(200ml・4色)で17,280円(税込)といった価格帯があります。)
  • 消耗部品費用
    ノズル、プリントヘッド、フィルターなどの消耗部品は、プリンターの安定稼働のために定期的な交換が必須です。
  • メンテナンス・清掃費用
    日常的なメンテナンス(ノズルヘッドのクリーニング、インク交換など)に加え、専門業者による定期点検の費用が発生します。 洗浄・クリーニング費用:ノズル詰まり防止や衛生管理のために、専用の洗浄クリーニング液(カートリッジ)を使用します(例:洗浄カートリッジが25,920円)。
  • 電力料金
    フードプリンターの機種、印刷スピード、稼働時間に応じて電気料金が発生します。
  • システム・ソフトウェア費用
    印刷デザインソフトや生産ライン連携システムの導入費用に加え、それらの保守運用費用がかかる場合があります。
  • 故障・修理費用
    予期せぬ故障が発生した場合の部品交換や修理工賃です。年間保守契約の有無によって、実際の負担額が大きく変わります。

コストを抑えるポイント

インク消費が少ない機種を選ぶことや、インク・洗浄液をまとめて購入して単価を抑えることが有効です。また、年間保守契約を利用して突発的な修理費用を分散させたり、定期的なメンテナンスで故障リスクを未然に防いだりすることもランニングコスト削減に繋がります。

コスト削減につながるのか

食品工場向けフードプリンターの導入は、初期費用が発生するものの、長期的な視点で見るとコスト削減に大きく貢献する可能性が高いです。特に人件費の削減と廃棄ロスの低減が主要なメリットとなります。さらに、コスト削減だけでなく、製品の付加価値向上による売上アップにも寄与します。

コスト削減につながる主な要素

  • 人件費の削減
    手作業で行っていた印刷作業(例:焼き印を押す作業など)を自動化・省力化することで、作業時間を短縮し、人員配置の最適化が図れます。手作業(例:1つの焼き印に5〜10秒)に比べ、フードプリンターは2倍以上の処理速度が可能となり、特に大量生産での人員削減効果は大きくなります。熟練した技術者を必要としないため、教育コストの削減にも繋がります。
  • 廃棄ロスや在庫リスクの低減
    高速で安定した印刷により、手作業よりも不良品の発生率が低減し、廃棄ロスを削減できます。デザインデータを変更するだけで多品種少量生産に対応できるため、市場の需要に応じた生産が可能となり、過剰在庫のリスクを低減できます。
  • 材料費の削減
    必要な量だけ正確に印刷できるため、インクや印刷シートなどの材料ロスを削減できます。安定した品質の印刷により、手直しによる材料の廃棄も減らせます。

コスト削減に加えて売上アップに繋がる要因

精細な印刷で製品の差別化や付加価値向上を図れるため、高単価での販売が可能になります。また、季節商品やイベント商品など新商品開発が容易になり、販路拡大や顧客満足度向上を通じたリピーター増加にも貢献します。

補助金は使えるのか

食品工場向けフードプリンターの導入において、国や地方自治体の制度の条件を満たせば、補助金・助成金を活用できる可能性があります。これらの制度を利用することで、初期費用の負担を大きく軽減することが可能です。主な補助金には、ものづくり補助金、中小企業新事業進出補助金、業務改善助成金などがあります。

活用可能な主な補助金・助成金

  • ものづくり補助金
    目的: 中小企業・小規模事業者による生産性向上新製品・サービス開発のための設備投資を支援。 補助率・上限: 中小企業で2分の1、小規模事業者で3分の2。補助上限は750〜2,500万円。
  • 中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)
    目的: 中小企業が新事業・分野へ進出するための設備投資を支援。 補助率・上限: 2分の1。補助上限は2,500〜7,000万円(従業員数による)。
  • 業務改善助成金
    目的: 最低賃金を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者が、その業務改善のための設備投資を行う費用の一部を助成。 助成率・上限: 4分の3〜10分の9。助成額は30万円〜600万円(引き上げ額・人数による)。

その他、各都道府県や自治体独自の補助金・助成金制度(例:東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」など)も設けられている場合があります。補助金を検討する場合は、メーカーや事業所のある自治体の窓口に相談し、最新の公募情報や条件を確認することが必要です。

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このメディアは、フードプリンターで実績を持つ株式会社ニューマインドをスポンサーとし、監修を得てZenken株式会社が制作しています。
近年、食品業界では個別ニーズ対応や付加価値の向上が求められています。そんな中、フードプリンターは革新的な解決策として注目されています。このメディアでは、高画質なデザインのプリントに留まらず、生産性向上、差別化戦略、そして新たな顧客体験の創出など、食品工場へのフードプリンター導入がもたらす可能性と、導入のために参考になる情報をまとめています。